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2008年8月号

第5回: 訴訟を防ぐための予防的手段

今月号も先月号の続編で、解雇につきものの訴訟をどのようにして防ぐことができるかについてのお話です。 “解雇に訴訟はつきもの”と書きましたのは、どのような事情があったにせよ、雇用を切られるということは、どのような従業員であっても精神的・経済的な圧迫やストレス、不安などは相当なレベルのものになりますから、訴訟まで行き着く確率もそれだけ高くなるわけです。

私は弁護士ではありませんので、訴訟が起こってからの法的措置や対応手順などについて指南するようなことは一切できません。 しかしながら、訴訟が起こるずっと以前の段階におきましての、企業として訴訟が起こらないようにするための社内での予防的手段につきましては、人事コンサルタントの立場から、皆様に有益なアドバイスをご提供することができます。 以下は、どの日系企業さんでもできる手段をまとめてみたものです。 是非できるところでよいですので、社内で今すぐ始めてみてください。

1.問題をはらんでいる可能性のある従業員を採用しない

通常、応募者の履歴書や面接から採用するかどうかの判断を下すわけですが、それだけではアメリカでは、十分ではないことがあります。 容姿や印象がよく、面接の受け答えがとてもよかったということだけでその応募者を採用すると、採用後しばらくして想定外のことが発生することがあるのです。 そうならないためにも、採用時点で、容姿や面接の受け答えだけでなく、採用者のレファレンス・チェック(経歴照会)ならびにバックグラウンド・チェック(身上調査)をすることによって、その本人の素性と過去とが明らかになってきます。 弊社では、このようなサービス(レファレンス・チェックならびにバックグラウンド・チェック)も貴社に代わってご提供することができます。

2.例外的な特権や待遇を与えない

過去の経験が豊富にあって、学歴や実績が輝かしいからといって、最初から例外的な特権や有利な勤務条件などを与えることは厳に慎んだ方が賢明です。 もし本人からそのような例外的な待遇を要求してきたり、ネゴしてきたりする場合には、要注意人物であるとみなしてかまわないと思います。 統計的にもそのような人物の勤務在籍年数は、非常に短いのが通例です。 企業にとって、よい選択となることはほとんどありません。

3.問題が観察できたらすぐに指摘する

最初はよい人が入社してきてくれたと思っていても、時間が過ぎるうちに様々な“不具合”が観察されるようでありましたら、時間をおかず、すぐに直属の上司がその不具合点を本人自身に指摘しなければなりません。 その際に、「いらぬ波風を立たせたくない」とか、「そのうちに問題は霧散するであろうから、特にあらためて今、言うこともない」といった“見て見ぬ振りをすること”が最もよくないことなのです。 問題を指摘されることのなかった当人は、この会社ではわからなかれば何をしても大丈夫だと思い込み、当人の問題行動はますますエスカレートして、しまいには収拾のつかなくなることになります。 その時点になって、指摘したとしても、時すでに遅しでなのあります。

4.指摘するときには、必ず記録を取る

口頭だけでの指摘だけではなく、指摘した内容を本人との面談という形の中で、メモをとることが絶対に必要です。 メモを取る中味としては、当人の名前と面談時間、そして面談しなければならない理由、面談で話し合った内容、そして最後に顕在する問題に対して本人との間で期限を決めた約束を取り交わし、それを記録し、約束した内容を書いておくということです。 このメモは、当人の人事ファイルの中に保管しておきます。 (人事ファイルは、鍵のかかったファイルキャビネットに必ず保管されていなかればなりません。)

5.重大問題が発生した場合

セクハラや業務上での横領や不正行為、窃盗、恐喝、暴力行為、危険行為、薬物の乱用、法律違反など(このような事例を総称して英語では、”Misconduct” あるいは “Gross Misconduct” と呼びます)が発生した場合には、行為の度合いによりますが、当人に解雇を通知し、即日中のうちに解雇することができます。 もちろん、行為の内容如何によっては、警察にもすぐに通報しなければなりません。 このような重大問題を目撃したり、気付いていた社員などからの聞き取り調査をすぐに行い、メモにして記録を取っておきます。 またそのような行為を証明できる過去のデータや財務記録などもすべて一緒にそろえておきます。

まだまだリストにあげられることは山ほどあるのですが、最低限のリストとして挙げてみた次第です。 ポイントとしては、問題がエスカレートする前段階で、事が小さいうちに問題の芽を摘むことに細心の努力を払うということです。 そして問題を指摘した点については、必ずメモとして記録に残して保管しておくということに尽きます。 今からでも遅くないですので、このような社内で最低限できることは、今日からでも始めてみてください。 どのようにして始めてよいか分からない、どこから手をつけてみたらよいのかとお悩みの場合には、いつでも私までご連絡ください。 弊社は、貴社の「人事の駆け込み寺」なのですから。

 


Ken Sakai
President
kenfsakai@pacificdreams.org

お断り

上記記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスと見なされるべき類のものではありません。ここに含まれている内容はあくまでも概括的なものであり、個人や企業の法的、または事実に基づく諸々の状況には必ずしも適合しないものかもしれません。 弊社は、法律事務所ではありませんので、何らかの法的行動を起こされるような場合には、必ず専門の弁護士にご連絡の上、ご相談してくださいますようお願い申し上げます。


   

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