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2009年1月号

第10回:法定最低賃金の改定

すでに1月も第四週を迎え、1月20日(火)には、オバマ新大統領の就任式がワシントンDCで行われます。 さて、アメリカの州によっては新しい年が明けますと、その州で定められている法廷最低賃金、いわゆるミニマム・ウェッジが改定されることがあります。私のいるここオレゴン州では、2009年1月1日より、ミニマム・ウェッジが改定され、昨年までの1時間あたり$7.95から$8.40になりました。 同じく、オレゴン州の真北に位置するワシントン州では、やはり、この1月1日から、昨年までの$8.07から$8.55に上がりました。 ワシントン州は、全米の中でこのミニマム・ウェッジが最も高い州となっています。 続いて、オレゴン州、そしてカリフォルニア州と続きます。 カリフォルニア州は、2008年1月1日から$8.00となっており、今年は、改定がなされませんでした。

1938年にできた連邦公正労働基準法、通称FLSA(Fair Labor Standard Acts)の中で、法定最低賃金法という法律が連邦法として定められています。 さらに、州ごとのFLSAがあって、やはりその中で州の法定最低賃金法を決められているのですが、一部の州によっては、法定最低賃金を定めていない州もあります。 連邦の最低賃金法で定められているミニマム・ウェッジは、昨年7月24日に改定がなされ、現在は、$6.55になっています。 ところが今年の7月24日にまた改定されることがすでに決まっていまして、$7.25になります。 法定最低賃金法の定められていない州は、連邦法のこれらミニマム・ウェッジに従わなければなりません。 連邦法の法定最低賃金よりも高いミニマム・ウェッジを制定している州では、州のミニマム・ウエッジに従わなければならないことになっています。

州の法定最低賃金の決定は、通常選挙のある年、つまり2年に1回、州民による直接投票(こちらでは、”Measure” とか ”Initiative” と呼ばれている)でその可否が選択されます。 ミニマム・ウェッジを決める基準になるのは、通常、連邦政府(労働省)から毎月発表されておりますCPI(Consumer Price Index;消費者物価指数)を基準にして算出されています。ウエストコーストに位置する3つの州がいずれも全米で最も高いミニマム・ウェッジを制定している州だというのは、やはりこの地域におけるCPIが毎年コンスタントに上昇を続けている証左だからなのでしょう。 確かに生活の質(Quality of Life)が高いということは実感しますが、それに伴うコストも当然かかっているわけです。

オレゴン州ならびにワシントン州は、最低賃金では、このように毎年1,2の上位を占めている常連の州なのですが、最低賃金さえ守っていれば、事業者にとっては、それほど難しい他の最低賃金に関する法律などは存在していません。 カリフォルニア州は、最低賃金は、オレゴン州やワシントン州よりも低い設定になっていますが、残業代の支払いなどに関しては、守らなければならない細かな規定がたくさん存在しています。 しかも、法定最低賃金では、残業代支払いから適用除外を受けている、エクゼンプト(”Exempt”)、いわゆる上級一般職社員にも、様々な細かい最低賃金が定められています。 働いているポジションや職種によるのですが、カリフォルニアでのエクゼンプトの最低賃金の多くは、ミニマム・ウェッジの2倍となっています。 さらにコンピューター職の場合ですと、それが4倍以上に膨れ上がり、かなりの高額所得が最低賃金として保証されていて、企業としてそれを満たさなければならないのは、生易しいことではありません。

このように、州によって法定最低賃金の制定は、実にまちまちなのですが、カリフォルニア州のように労働組合の活動が現在でも活発で、働く人の権利が堅固に守られている州は、アメリカの中でも例外で、逆にこのような州では、全米の中でも現在進行中の未曾有の景気後退期の中にあっては、高い失業率に悩まされ続けているというのが現状です。 カリフォルニア州に次いで、最低賃金などについて細かな規定を設けているところとしては、中西部にあるミシガン州です。 やはりここもデトロイトがあり、ビッグスリーをはじめ、アメリカ自動車産業のお膝元ですので、アメリカ最大の労組UAW(United Automobile Workers)のあるところとして有名です。 労働者の権利がさまざまな州法によって守られていることはよいことなのですが、この州は、国内自動車産業の著しい衰退にともなって、全米一高い失業率の州となってしまっています。(2008年11月時点で、9.6%の失業率)

最低賃金を毎年上げる、あるいは残業代支払いやエクゼンプトの最低賃金支払いにも細かい規定を設けるということは、ある意味、「両刃の剣」という感じがいたします。 そのような労働者の権利を保障する規定に対して、グローバル規模での大競争で太刀打ちができなくなった企業は、倒産または廃業、もしくはその州からの立ち退きに追い込まれることになります。 結果として、州全体の失業率は、いつも高止まりで、全米トップの高失業率の州になってしまいます。 オレゴン州も全米で5番目に高い失業率を記録しています。(昨年11月現在で、8.1%)この先、失業率は、まだまだ上昇していく気配で、10%台を記録するような最悪のシナリオも想定されています。 オバマ新政権が打ち出すグリーン・ニューディール政策のもと、あらたな雇用創出の可能性に一縷の望みをつないでまいりたいと思います。


Ken Sakai
President & CEO
kenfsakai@pacificdreams.org


   

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