日本の人事部・アメリカの人事部
日米企業のコーポレート・ガバナンスと雇用関係
サンフォード・M・ジャコビー 著
東洋経済新報社
2005年11月3日刊・347ページ
著者のサンフォード・M・ジャコビー氏は、UCLAアンダーソン経営大学院教授で、雇用問題専門の歴史的分析を行っています。 日米の大手企業の人事部に対して、膨大なインタビュー調査を行った結果をふまえてまとめ上げたのが本書です。 人事部というとどちらかといえば企業の中では黒子的役割である地味な部門に光を当てて、日米のそれぞれの特徴について歴史的論評を交えながら執筆した異色のテーマを持ったユニークな書籍ではないかと思います。
日米の人事部に存在する差異として、日本の人事部のポジションは歴史的に高い地位に置かれ、一部門としての規模も大きかったという事実に対して、アメリカの人事部の社内で占める地位は相対的に低く、規模も日本の半分以下でものであったという指摘は、私としても新しい発見でありました。 しかも第1次世界大戦前のアメリカの大企業では、人事部というものが存在さえしていなかったというのは、驚きでした。(存在していたのは、雇用部と福利厚生部であったということです。) 一方の私自身は、日本で働いていた6年余りのと歳月では、人事部門というものを経験したことはまったくありませんでしたので、私としては日本の人事部という組織を理解できるまたとない貴重な資料となりました。
日本で働いている方々、特に人事部にお勤めの方々には、アメリカの大企業における人事部とその歴史的変遷というものを知る上でまたとない労作である本書は一読の価値があります。 人事部として社内ではどのような機能を果たし、権限を有しているのかということを日米間で比較検討できるように記述されてあります。 また大変参考になる情報や調査データが全編を通じて至るところに満載されております。
最終章は、日本とアメリカの人事部の進むべき方向性と展望とを示唆してくれています。 取締役会の機能不全を招いた一連の企業不祥事を経験したアメリカの大企業の多くは、組織志向の強い雇用制度を打ち出し、社内的には、財務主導型であったコーポレートガバナンスを修正し、人事経験者を外部取締役員として招聘する新しい動きがあるという点など、人事の最新の流れについてまでを正確に取り入れてくれています。
本書は、細かな注釈が数多く付けられているのですが、それらの注釈ひとつずつもていねいに翻訳されていて、著者が大学院教授であるということもあり、データを引用した出典文献やその背後にある事実関係なども大変几帳面に記載されている点は、とても好感が持てますし、資料を探す上でも役立ちます。 このような日米の人事部を比較検討した書籍というものは今までに前例がないのではないかと思いますので、日米いずれかにおきまして人事関係に携わる方にとりましては、必読の書といたしまして、ご推薦させていただきます。
*Pacific Dreams, Inc. では、「日本の人事部・アメリカの人事部:日米企業のコーポレート・ガバナンスと雇用関係」(東洋経済新報社刊:$44.00 Each, Plus Shipping & Handling $6.00)を在庫しておりますので、ご希望の方は、お電話 (503-783-1390) または、E-mailで bookstore@pacificdreams.orgまで、ご連絡ください。
Ken Sakai
President
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