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2008年5月号

「翻訳トーク」 2008年5月号のごあいさつ

日本は、ゴールデンウィークが終わったばかりのところですが、アメリカに21年間も住んでいる私にとっては、日本のゴールデンウィークは、遠い過去の思い出話となってしまい、休暇を取ることもなく、ゴールデンウィークの期間もいつもと同じように仕事にあくせく精を出しています。 まあそれはゴールデンウィークのないアメリカにいては、至極当然のことなのではありますが。

さて、私はここのところ、アメリカ各地(といってもアメリカ西海岸地域がほとんどなのですが)での通訳の仕事に忙しく、ほぼ毎週のように出張で飛び回っています。 弊社は今まであまり通訳業に力を入れていたというわけではないのですが、弊社の拙いウェブサイトや口コミ、そしてその昔お世話になったお客様からのリピートなどが突然というのか、偶然というのか、立て続けに舞い込んでくるようになりまして、私自身が基本的に通訳に出向くというパターンがここのところ続いている次第です。

通訳に出向く場所の多くは、半導体関連や産業機械などの製造業に携わるアメリカ企業での現場で、それぞれの企業の工場内部を見学したり、加工現場や組み立て作業などを間近で見ることで、私自身にとりましても非常に勉強になります。 各企業、各工場ごとにそれぞれのテクニカルでユニークなノウハウがそこかしこに見受けられ、現場の創意工夫などが築き上げられていることが訪問回数を重ねるうちに、その分野に関してはまったくの門外漢の私であっても、それなりに理解できたり、観察できたりするようになります。

私自身は、20数年前に日本にいた頃から、アメリカからやってきた当時の提携先メーカーの技術者や営業責任者の通訳をアメリカ人の妻がいるというだけの理由(?)で無理やりやらされたのが、事の始まりでした。 若気の至りというのか、無手勝流の通訳をしゃにむにこなしていた当時のことを思い出すと開いている穴に入りたい気持ちに今でも襲われます。 いわば今の私の通訳は過去の失敗から学んだ貴重な経験の集大成で成り立っているといても過言ではありません。

もともと理科系のそして技術系の人間でありましたので、テクニカルな内容は大好きでしたし、特に製造という「もの作り」の現場は、その場を見ればある程度、どのようなレベルで仕事や作業がなされているのか、私自身の半導体(シリコンウェーハ)製造で培いました当時の経験と比較しておおよその見当がつくようになりました。 さらに製造工程や作業現場にも潜む日本人とアメリカ人との間に間違いなく存在する文化的、社会的相違にまで深堀りさせて、その背景にあるものを察することで、発せられる言葉に含まれる微妙なニュアンスの変化やその場の空気の流れも徐々に読めるようになりました。

そういう意味では、さまざまな経験ならびに場数を通じて、日本人とアメリカ人双方にとってのフェアで高品質の通訳、双方の真意までをも汲み取れるというレベルの通訳にまで近づいていくようになったのではないかと思っています。 もちろんテクノロジーはどんどん進化をし続けていますので、そのスピードの速さに追いついていくことは通訳をする者にとりましては、並大抵のことではありません。 しかしどんな画期的なニューテクノロジーが生まれたにしても、それを生み出したのは生身の人間でありますので、そこには人間が語る生身の言葉がやはり必ず存在してくるわけなのです。

今回の「翻訳事始め」は、そのような最近かかわりました一連の通訳の仕事を通じまして、翻訳と通訳との相関関係や比較というものにテーマを当てて書いてみることにいたしました。 翻訳と通訳のどちらも同じように両立させるというのは、ほとんど不可能に近い挑戦ではあるのですが、この2つの課題を対象にしてみることで今まで見えなかった言葉に対する新しい発見がありました。それは、長年言葉のビジネスに携わってきた者としても新鮮な発見であり、知的関心を継続して高めてくれる動機付けとなってくれたように思います

さて、6月9日(月)から約3ヶ月ぶりの1週間ほどの日本訪問を予定しています。 今回は、(社)日本翻訳連盟(JTF)主催の翻訳環境研究会での講演が6月12日(木)午後2時から翻訳会館(東京都港区赤坂)にてあります。講演タイトルは、「米国のウェブ最新事情と翻訳ビジネス」です。 詳しくは、日本翻訳連盟・事務局の寺田大輔さん(03-3555-2905)までご連絡ください。 それ以外は、私のスケジュールはまだ未定でありますので、今回は、営業を兼ねましてご訪問させていただける機会がございましたら、幸甚に存じます。 ご連絡ください。 皆様と6月にお会いできますことを楽しみにしております。

 


Ken Sakai
President

kenfsakai@pacificdreams.org

   
Pacific Dreams Institute