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2009年2月号

ポジショニング戦略 [新版]
原題: Positioning–The Battle for Your Mind

アル・ライズ & ジャック・トラウト 著
  川上 純子 訳
  海と月社・2008年4月14日刊・272頁                 

本書の原書初版は1970年代に書かれたものがベースになっているということで、本書に出てくる企業名はすでにこの世から消え去った企業も数多くあり、その意味では、アメリカのダイナミックな企業変遷の歴史というか、当時を代表する冠たる大企業であってもビジネス界における時の諸行無常を感じないわけにはいきませんでした。 ですが、本書に出てくる企業は古めかしい企業名が多いものの、マーケティングの成功例と失敗例には誠に枚挙の暇がなく、これらのマーケティングにおける事例は今もって現代の企業が世の東西を問わずに直面している現実問題であり、相も変わらず繰り返されてきている宿命的な事例なのではないかと本書を読み進むうちに感じました。

2008年になって、原書としては最も新しい2001年に出されたものを新訳書としてあらたな翻訳が試みられ、「現代マーケティング理論のバイブル」と呼ばれ続けた本書が洗練され、よくこなれた日本語により新しく日の目を見る形で誕生しました。 「ポジショニング」というマーケティング理論は、1960年代の終わりに本書の著者二人が発表した論文で使われたのが初めてであったそうです。 その後マーケティングの革新的コンセプトとして産声をあげてから40年近くが経過してはいますが、本書に出てくる事例を一つ一つ見ていけば、企業というものは飽きもせずに、己の強欲や自惚れから同じ間違いを何回も繰り返し続けていることがよく理解できます。

企業を買収た後にその企業名を変えたことによって、コンピュータ業界では泣かず飛ばずの位置に甘んじ続けたゼロックスの実例や“ライン拡大”という戦略をとってやはり新製品からの撤退を余儀なくされた多くの製薬会社や製紙会社の事例などは、30年以上前の話であるとはいえ、今もって臨場感があり、今日でも十分に通用する失敗談であるかと思います。 本書の中には、成功例よりも失敗例の方がはるかに多く紹介されているのも、耳の痛い反面教師の話として、読者サイドからすればむしろ興味が尽きません。 これらの失敗談は、恐らくご自分が関係する業務の中で実際に周りの事例を見回してみれば、一つや二つは思い当たるような節がきっとおありになるのではないかと思います。

使われている事例が確かに古く、インターネットが登場するはるか以前に書かれた書籍であるということがたまにキズなのではありますが、著者が繰り返し述べている「ポジショニング」の論理と手法は、むしろより新鮮で理路整然としており、インターネットが全盛の現代のマーケティング手法にも十分適用することのできる貴重な教訓が至る所にちりばめられているということができます。 マーケティングというものがどういうものであるのか、また古くて新しい、「ポジショニング」というものの原点を再考する上で本書の新訳が出されたことの意義は小さくないものといえるでしょう。 マーケティングについてもっと学びたい方や今後さらに自社の中で力を入れていきたいとお考えの方には、誠に最適な書籍であるかと思います。

*Pacific Dreams, Inc. では、「ポジショニング戦略 [新版]」(海と月社:$34.00 Each, Plus Shipping & Handling $6.00)を在庫しておりますので、ご希望の方は、お電話 (503-783-1390) または、E-mailで bookstore@pacificdreams.org まで、ご連絡ください。

 


Ken Sakai
President

kenfsakai@pacificdreams.org

   

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