Select your language English
o 翻訳トーク
o
o
o
o HRMトーク
o HRM書評

 

     
 

ため息のサンフランシスコ

私は、毎年7月中旬になるといそいそとサンフランシスコに出張ででかけます。 もうここ12年来続いている恒例の年中儀式みたいなものです。 なぜこの時期、サンフランシスコに行くかと申しますと、北米最大(かつては世界最大であったのですが)の半導体産業で使われる装置ならびに材料関係の国際展示会であるセミコン・ウエストがサンフランシスコのダウンタウンにあります、モスコーニ・センターで開かれるためです。

セミコン・ウエストが開かれる7月中旬の3日間は、夏の観光シーズンとあいまって、サンフランシスコ中のホテルというホテル、そしてレストランというレストランは、世界中からのセミコン参加者と観光客とで溢れかえります。 そうなのです、国際観光都市であるサンフランシスコにとっても、セミコン・ウエストは、年間を通じて最もビジネス客をサンフランシスコに運んでくる、最大のイベントであり、商売の掻き入れ時であるわけなのです。

そのセミコン・ウエストも年を追うごとに相対的な地盤沈下が著しく、すでに相当前に展示会の規模では、毎年12月に開かれるセミコン・ジャパンに後塵を拝するようになりました。 さらにその傾向は今年は、特に顕著であったように私の目には映りました。 ご存知のように半導体産業もその例外に漏れず、多くの他の製造業同様、アメリカの地を遠く離れて海外にある工場、とりわけアジア地域にある製造拠点に出て行ってしまっているわけです。 アメリカの半導体製造は、一部の大手トップ企業や半導体設計だけに特化しているファブレス企業を除いて、現実的には空洞化しつつあります。

しかしながら、半導体製造で使われる装置や材料の多くは、現在でもまだアメリカに残って製造のほとんどを行っている企業に支えられているところが多いのもまた事実でありますので、セミコン・ウエストがサンフランシスコで存続している意義は十分にあります。 そうはいいましても、現実的に半導体製造の中心は、韓国、台湾、シンガポール、そして中国といったアジア勢にもはやその趨勢を奪われていますので、セミコン・ウエストを開催し続けても、装置や材料を実際に使うエンドユーザーの来場は、毎年、減少の一途をたどっている状態なのです。

それでも数年前までは、韓国や台湾からの多くの来場者がセミコン・ウエストになだれを討って来ていましたが、昨年あたりからそのような傾向も次第に少なくなってきました。 それは、韓国や台湾、そして中国でもそれぞれ毎年、地元でのセミコンショーが開かれるようになったためで、わざわざ高い出張旅費をかけてサンフランシスコまでアジアから来訪する必要性も薄らいできたからではないかと察しています。

今年2008年は、前年に比べてセミコン業界(半導体製造装置・材料業界)は、約20%のマイナス成長になるだろうとの予測がセミコン・ウエスト開催中に主催者側から発表されました。 来年2009年は多少改善はするものの、それでも8%程度の伸び率であろうということで、2007年の水準には達しない模様です。 そんな発表もあってか、出展している各装置・材料メーカーも明らかに経費削減を推進中のようで、ブースのコマ数も減少気味で、地味で活気が感じられないショーとなってしまっていました。

来場者の目も伏目がちで輝きがありませんでした。 まさに半導体産業全体の現状を象徴しているような来場者、そして出展者たちばかりでありました。 ということで、私もせっかく経費をかけて、ホテルにしてもレストランにしてもアメリカ西海岸の中においては最も値段の高い、この地で来年セミコンまで来る価値は果たしてどれだけあるのだろうかという、思わずため息が出てしまい、棒のようになって疲れ切った足でサンフランシスコのダウンタウンを後にし、地下鉄のBARTに乗って空港に向かいました。 私のセミコン詣での年中儀式も今年で終わりになるかもしれません。

 


Ken Sakai
President

kenfsakai@pacificdreams.org

   
Pacific Dreams Institute